会いに行こう〜CallConnectのセールス戦略〜
2015年7月、私たちはCallConnectというサービスをリリースした。5分でブラウザ上に電話窓口を開設できるサービスで、企業の電話サポート業務を効率化するのに役立つ。ブラウザ上で通話したり、応答ガイダンスを設定して用件に応じて転送先を変えたり、高額なビジネスフォンやCTIを使うより、簡単で使いやすい。
これは、新宿と熱海の2拠点で活動する私たちにとって最適なサービスであり、場所に縛られない働き方を実現するためには必要不可欠といえる。
そんなCallConnectも、リリースしてから9ヶ月が経ち、ありがたいことにお客様も10社、20社と徐々に増えている。
しかし、まだまだ十分とはいえない。
導入企業数が数千、数万社を超えたわけでもなければ、SaaSビジネスの先頭を走る「Salesforce」のような認知度もない。
きっと私たちのサービスを取るに足らないSaaSサービスのように思う人もいるだろう。
ただそんな私たちでも同じような境遇にいるスタートアップ、顧客から愛されるプロダクトを作りたいと切望するスタートアップに伝えられることはあると思っている。
それは、「顧客に会いに行こう」ということだ。
顧客を大切に。顧客視点で物事を考える。 何を今さらそんな当たり前のことを言っているんだと思う人もいるだろう。
だが、ここで一度立ち止まって振り返ってみてほしい。 本当に顧客のことを知ろうとしているかと。
プロダクトをリリースすれば、当然自社のプロダクトをより多くの顧客に使ってもらわなければならない。 そこで、広告を打ったり、イベントに出まくったり、業務提携のために慌ただしく動き回り、新規顧客をどんどん獲得しようとするスタートアップもあるだろう。
もちろん、それはそれで必要だろう。実際に私たちも新規顧客を獲得していく必要がある。
だが、それ以上に必要なことがあると私は信じている。
それが、「顧客に会いに行く」ということだ。
最初の顧客を見つけ、5人、10人、15人と顧客を幸いにも増やすことに成功したのなら、創業者自ら顧客と話す時間を優先的に作ろう。
本当にそのプロダクトを顧客は求めているのかということを検証しに外に出て行こう。
これを差し置いてやることなどないと思っている。
顧客の課題を正しく解決できるのかということを検証することもせず、やれマーケティングだの、やれ採用して営業かけようだの、どんどんお金を使ってしまうなんて馬鹿げている。
顧客に会いに行くことは、すぐにだってできるはずだ。
ついつい契約社数1000社、1万社といった見栄えのいい数字ばかりを追ってしまうこともある。
しかし、私たちが求めているのは見栄えのいい数字を作ることではない。 10人でもいい、熱狂的に私たちのサービスを支持してくれる顧客を作ることだ。
「数」に魅せられ、現在の顧客と向き合うことをしなければ、他に良いサービスがありそうだからと簡単に乗り換えられてしまうようなサービスになってしまうだろう。
これから顧客に会いに行くという人の参考になるように、私が顧客に会いにいったときの実感を共有する。
顧客の課題の本質を知ることができる。 直接会うことで表面的な課題ではなく、なぜその課題が生まれているのかという要因を知ることができる。顧客が普段どういった状況でサービスを使っているのかを実際にオフィスまで行き、自分の目で見ることで顧客のことをわかったつもりから抜け出せる。だが、それでも全てを把握するというのはなかなか難しい。
顧客の課題を解決できているのかを知ることができる。 実際に会いに行くと、これまで声にならなかった声を聞くことができる。細かい使い勝手や機能改善の要望など、クレームにつながっていないから大丈夫だろうと考えるのは間違いだ。実際に会ったからこそ聞けた顧客の声が時にプロダクトの方向性に対する重要な示唆となることだってある。
ユーザーとのつながりが強くなる。 実際に会いにいくことで、プロダクト以外の部分で顧客の体験を良くすることができる。何かあれば連絡しやすい雰囲気を作ることは、プロダクトに関するフィードバックを得やすくし、より良いプロダクト開発に生きる。
スタートアップというと、短期間での急成長を前提としている。VCから資金を調達していればなおさらだろう。自分たちが望む望まないに関わらず、それを求められる。前を見ることしか許されない。
しかし、私たちが仮にそのような境遇になったとしても、「顧客に会いに行く」ことは忘れずにやり続けていきたい。 もちろん、数字を追うことは重要だし、欠かしてはいけないものだ。
だが、目の前の顧客との関係をしっかりと作ることを差し置いてやることなどないはずだ。これは顧客がもっと増えてきたとしてもだ。
私たちは、もっと顧客と向き合い、顧客の成功を共に喜びながら進んでいきたい。 顧客に会いに行こう。 顧客ともっと話そう。 そして、目の前の顧客を幸せにしよう。
最近、いつ顧客と会いましたか?