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2017/07/02

今日、起業してちょうど3年が経ちました。

こんにちは、小俣です。
ちょうど3年前の今日、私はセルフリーを立ち上げました。
それから早3年。会社メンバーをはじめ、多くの素晴しい人達に恵まれ、無事に4期目に入ることができました。この1年でセルフリーに関わってくださった皆様には、心から感謝しています。いつも本当にありがとうございます。
この1年は自社サービスの「CallConnect」の改善や認知獲得に力を入れてきました。
今回は、近況報告も兼ねてこの1年での出来事や個人的に考えたことについて簡単にまとめたいと思います。

■トピックス

・コールコネクト単体の収益で通年の黒字化を達成

私たちはブラウザ電話システム「CallConnect」を開発・運用しています。これまで企業でよく使われてきたビジネスフォンなどの従来型の電話システムに不満を抱いたのがきっかけです。これまでそのような電話システムは、導入するのに数十万円以上の高額な費用が必要でしたし、顧客管理ツールとの連携も困難でした。私たちにとってそれは高すぎましたし、高品質な電話サポートを実現するには不十分でした。
だから、私たちは自分たちで作ることにしました。リリースしたのは、2015年の7月。今月でリリースから2年が経ちます。
そして、3期目はそのコールコネクトの収益だけで通年の黒字化を達成することができました。リリース当初からコールコネクトの収益だけで会社が回る状態を一つの目標にしていたため、私たちにとって3期目は大きな節目となりました。
私たちは、これまで銀行からの借り入れも含め外部からの資金を調達していません。リリース当初は共同創業者それぞれが自身の貯金を切り崩したり、受託開発を行いながらコールコネクトを開発・運用していました。広告に予算を割く余裕もなかったので、オウンドメディアを通して情報を発信したり、登壇できそうなイベントには可能な限り参加してサービスの存在を知ってもらえるように取り組んできました。
現在は受託開発を行わず、コールコネクトの開発・運用のみに集中している状況です。
3期目は幸いにも自社サービスだけで食っていけるようになったわけですが、これは一つの通過点に過ぎません。現状に満足することなく、今後もコールコネクトを“お客様に長く愛されるサービス”にできるように粛々と事業を進めていきます。

・「自己資本×自社サービス」をテーマにしたイベントの開催

2016年の12月には、「自己資本×自社サービスでビジネスを軌道に乗せるまで」というテーマのイベントを開催し、30名を超える方々に参加していただきました。 イベントでは、私たちがコールコネクトを成長させるために実践してきたことや「なぜ自己資本経営を続けるのか?」ということについて共有しました。
また、私たちと同様に自己資本で自社サービスを運営している各社からも企業ストーリーを発表していただきました。これまでなかなかこういった機会がなかったので、イベントを主催した私たち自身が非常に勉強になったことを覚えています。
そして、年末に会社イベントを開催するのが恒例となりつつあるので、4期目も「カスタマーサクセス」などをテーマにイベントを開催し、新たな繋がりを作っていきたいと考えています。
ちなみに、自己資本でやるか、VCなどから調達してやるかというのは、経営者の好みや思い描く世界観によって自由に決めればいいと思います。どちらも一長一短がありますし、経営者の「何のために起業したのか?」という理由によっても判断が分かれると思います。私たちの場合は、私たちが作りたい世界観を実現する上でコントロール性などの観点から自己資本の方が合っていると考えているので、これからも自己資本でやっていくつもりです。

・「熱海スタートアップキャンプ」を開始

私たちは東京と熱海に拠点を構え、普段から2つの拠点を自由に行き来しながら働くなど、会社としてリモートワークを実践しています。
しかし、熱海拠点は開発に集中したい時に使うことが多いため、毎日誰かがいるというわけではありません。 そこで、熱海拠点の活用方法について考え、今年の1月から「熱海スタートアップキャンプ」という取り組みを始めました。この取り組みは、開発合宿や経営合宿を実施したいスタートアップの方々に、温泉付きの熱海拠点を無料で貸し出すという取り組みです。 熱海は東京から2時間ほどでアクセスできるだけでなく、最近ではコワーキングスペースもオープンするなど、気分を変えて仕事をするにはもってこいの場所です。
1月から拠点を開放して、これまでスタートアップ8社に活用していただきました。
場所に縛られない働き方について考えるきっかけを作れればと思っているので、今後もこの取り組みは続けていく予定です。

■この一年を振り返って

3期目の様々な出来事や変化を通して感じたこと、考えたことについてまとめておきたいと思います。

“制約こそ創造性の源泉だと知る”

この一年、私たちは限られた“人”“時間”“資金”の中で幸いにもサービスの成長性を高めることができました。
人を増やすことも、広告に大金をつぎ込むこともありませんでした。
その中で感じたのは、「少ないというのは必ずしも克服しなければならない状態ではなく、喜んで受け入れてもいい状態である」ということです。
例えば、新規顧客1人の獲得を予算10万円で目指す場合と、予算1万円で目指す場合とでは、制約が多そうなのはどちらでしょうか?多くの人が予算1万円の方だと思いますよね。じゃあ、やれることの限られている予算1万円の場合では新規顧客を獲得できないかというと、そんなことはありません。工夫次第では、必要以上のコストをかけずに目標を達成するだってできるでしょう。
確かに資源が少ない状態では、何かしらの制約が発生します。しかし、その制約をむやみに遠ざけたり、恐れたりする必要はないのです。なぜなら、人は制約によって創造力を働かせ、物事を進展させることができるからです。資源が限られていれば、当然無駄なことに時間やお金を使うわけにはいきません。否が応でも頭を使い、本質的な物事に集中するようになります。結果として、たった1,000円の予算で新規顧客1人の獲得に成功することだってあるでしょう。
他にも、5・7・5という十七音の中で季語を使い、情景などを表現しなければならない“俳句”も、制約をうまく活用しているケースだと言えるでしょう。
資源が少なく、制約がある状態を嘆く必要はありません。仮に使える資源が増えたとしても、制約は創造性の源泉だということを忘れず、むしろ制約を設けることで創造性を発揮していきたいと思います。

“ゆとりを持つ”

私たちは平日の10〜18時をコアタイムと決め、働いています。18時になったら仕事を終えて帰宅するので、夜遅くまで日々の業務に忙殺されるということはありません。
そして、このようなゆとりある働き方をしてきた結果、自然と18時以降を新しい技術やノウハウの勉強に充てたり、コミュニティ活動のために使うようになりました。
この一年で感じたのは、「精神的にも時間的にもゆとりを持つということが、生産性の向上につながり、柔軟な変化を可能にする」ということです。
例えば、8時間働くよりも12時間働いた方が多くの生産物を生産できるように思えます。しかし、本当にそうでしょうか。切れ味の悪くなった斧を使って、木をたくさん切ることはできません。高い成果を出すためにはハードワークも大切ですが、スキルアップ(斧を研ぐ)に費やせる時間を確保することも大切なのです。
寝る時間を削ってでも働くのが一部で美徳とされることもありますが、私たちはそのような働き方を一切推奨しません。むしろ、そのような働き方は百害あって一利なしだと思います。
それに、ゆとりがなければ、スピーディに方向転換を図ることも、次の変化に備えることも難しくなってしまいます。車を運転したことがある人ならわかると思いますが、いくら先を急いでいるからといって前の車との距離を詰めたところで危険なだけで、早く進めるわけではありません。
適度な距離を空けるからこそ、ハンドルを切って車線を変えたり、前方の車の急ブレーキにも対応することができるのです。結果として、混雑や事故に巻き込まれることなく、目的地までスムーズに進んで行けるのだと思います。
これからもゆとりを持つことの重要性を忘れず、柔軟に変化していきたいと思います。

“らしさを大切にする”

私たちはサービスを提供してくる中で「愛される企業を増やす」という理念を明文化してきました。また、少ない人数で高収益を上げられる体制づくりを大切にし、リモートワークという働き方も実践しています。
このように私たちは私たちなりの理想やこだわりを持って、この一年、会社経営をしてきました。その中で感じたのは、「成功の定義は人それぞれなのだから、誰かの言葉や考えを盲信する必要はなく、当然その誰かが作った成功の形を追い求める必要もない」ということです。
重要なのは、「自分たちがどうしたいか」です。
松下幸之助は「経営は芸術である」という言葉を残しました。「経営者というものは、白紙の上に平面的に価値を創造するだけではなく、四方八方に広がる芸術を目指している」と。
では、経営者を芸術家に例えて考えてみましょう。もちろん、全員が全員、同じ絵を描く必要はありませんよね?それに、絵を描くのに全員が同じ手法を取り入れる必要もありませんよね?最低限基本となる手法を学ぶ必要性はあったとしても、絵を描く上でそれより重要なことがあるはずです。
それは、あなたが「どんな作品を作りたいか?」ということであり、“自分らしさ”だと思うのです。
もし、誰かの下書き通りに線をなぞり、色を塗っていたら、次第にやっている意味が見出せなくなってしまうのではないでしょうか。そして、いつしか飽きてしまうのではないでしょうか。
大切なのは、自分の気持ちや理想に素直になり、自由にやる勇気を持つことだと思います。私たちは、これからも自分たちらしさを大切に前進していきたいと考えています。

■セルフリーのこれから

私たちは4期目も「愛される企業を増やす」を企業理念に、粛々と事業を展開していきます。そして、会社メンバーと高め合いながら、限られた資源を上手に使って、コールコネクトを着実に成長させていきたいと思います。
これまでと同じように、“シンプルさ”を大切に、4期目も駆け抜けていきます。
皆様、4期目もご指導ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願いいたします。

2017年7月2日 小俣隼人