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2018/07/02

今日、起業してちょうど4年が経ちました。

「愛される企業を増やす」

これはセルフリーの理念であり、指針です。会社メンバーと「なんのために仕事をやっているのか?」ということを話す中で、この理念は明文化されてきました。コミュニケーションを円滑にして、顧客との関係性がより良くなるようなサービスを提供しているのもそのためです。

「ユニコーン企業になる」とか、「数年以内に上場する」とか、そういった言葉が指針になることはありませんでした。今後も規模や急成長がゴールになることはなく、それらが指針になることもないでしょう。
私たちは、短期的な急成長ではなく、長期的で着実な成長を望んでいます。

そんなセルフリーですが、今日で設立から丸4年が経ち、無事に5期目に入ることができました。これまでセルフリーに関わってくださった皆様、本当にありがとうございます。

今回は、近況報告も兼ねてこの1年の取り組みや考えたことについて書いていきたいと思います。

■トピックス

1. ブラウザ電話システム「CallConnect」の成長

私たちにとってこれまで企業でよく使われてきた電話システムは、導入費用も高く、操作方法も複雑でした。そこで、もっと手軽に導入できて、シンプルに使えるようにしたいと思い、コールコネクトを作りました。

そんなコールコネクトも、今月でリリースから3年が経ちます。おかげさまで昨年時点では通年の黒字化を達成し、先月末時点の売上は昨対比200%増となりました。

この1年は、「解約率を3%以内に抑えること」と、「既存ユーザーさんのライセンス追加やプランアップグレードによる売上が解約による損失を上回る状態を作ること」に特に力を入れてきました。

具体的な取り組みを一部ご紹介したいと思います。

・ヘルススコアの活用

ユーザーさんの通話件数や機能の利用有無などを100点満点でスコアリング。利用状況が望ましい状態かどうかを「ヘルススコア」として計測しています。ヘルススコアが低い状態は、解約リスクが高い状態だと考えられます。

そこで、ヘルススコアが下がる原因を分析し、オンボーディングや製品の改善を図ってきました。ヘルススコアが基準を下回った場合の行動も事前に考えることで、手遅れになる前に行動を起こせるようにしました。

結果として、中小企業向け SaaS の解約率は 3~7%/月 に抑えるのが望ましいと言われる中、3%以下を維持することができています。

・NPSの活用

ユーザーさんの製品に対する推奨度を「NPS(ネットプロモータースコア)」を活用して計測しています。NPSを活用すれば、「継続利用や追加購入の可能性が高い状態かどうか」「口コミが生まれやすい状態かどうか」ということが把握しやすくなります。

これまでは SurveyMokey を使ってメールでアンケートを送付し、フォームから回答していただいていました。しかし、最近になって Wootric を導入し、サイト上から回答を集めるようにしました。

その結果、回答数はメールで計測していた時に比べて約20倍になり、「製品に対してどの程度の愛着を持っていただけているか」という現状を理解することができました。同時に「製品を推奨しない理由」についても知ることができ、NPSの改善に向けた行動を起こせるようになりました。

こうした改善行動によって、「既存ユーザーさんのライセンス追加やプランアップグレードによる売上が解約による損失を上回る状態を作ること」も実現できたと思います。

・サポート履歴の集計/分析

私たちは、電話サポートにはコールコネクトを使い、メールサポートには Zendesk Support を使っています。 電話対応した際には、「質問」「要望」といったタグを通話メモに付与しています。Zendesk Support でも同様のタグをチケットに付与し、問い合わせ種別を管理しています。

問い合わせの傾向が把握しやすくなれば、FAQを充実させて自己解決を促したり、製品のUIなどを継続的に改善することも容易になります。

現状、事業を成長させつつも、問い合わせ数自体は1日数件程度と低い水準で保てています。そのおかげで、少人数でのサービス運営も実現できています。

今後もカスタマーサクセス/カスタマーサポートに重点を置き、コールコネクトを成長させていきたいと思います。

2. 「CallCoonect ユーザーミートアップ」を開催

「活用方法を知ってもらいたい」「ユーザーさん同士でサポートノウハウを共有できる場を作りたい」という想いから、2017年11月と、2018年5月にユーザーミットアップを開催しました。

イベントでは、コールコネクトの活用方法はもちろん、“開発したきっかけ”や“開発の思想”についても自分たちの言葉で伝えることができました。 ユーザーさんと長期的な関係を作る上では、製品を開発している私たち自身を知ってもらうことが重要だと考えています。 人間関係と同じように、相手(製品)に共感できるかどうかでその後の関係性は大きく変わるはずです。

運営側とユーザーさんの距離が遠いサービスではなく、中の人の顔が見える、温かみのあるサービスを目指して、今後もこのような場を作っていくつもりです。

イベントの様子は下記にまとめてあります。
2017年11月開催
CallConnect ユーザーミートアップ vol.1
2018年5月開催
CallConnect ユーザーミートアップ vol.2

3. 企業向けライブ配信システム「wellcast」をリリース

ニーズが「所有」から「利用」に変化する中で、サブスクリプションビジネスが台頭してきています。そういった中で、企業にはこれまで以上に、顧客と長期的で良好な関係を構築する姿勢が求められているのではないかと思います。

しかしながら、顧客に対して能動的に情報を届けることができず、商品/サービスの理解を促せないまま終わってしまっているケースも多く見受けられます。 私たちも、ユーザーさんに製品の活用方法を知ってもらうといった、“育てる”観点ではまだまだ取り組みが不十分でした。

そこで、顧客育成などを目的としたセミナーをウェブ上で手軽に配信できるシステム「wellcast」を開発しました。

配信者は、wellcast を使えば、手軽に1対nのリアルタイム配信ができます。イベントURLを事前にウェブセミナー参加希望者に共有すれば、参加者はそのURLをクリックするだけで自身のPCから視聴することが可能です。
配信中は、画面共有をすればプレゼン資料を参加者に見せたり、チャットを通して双方向のコミュニケーションを取ることもできます。

今後は顧客管理ツールなどとの連携を実現し、企業におけるライブ配信やウェブセミナーの開催を一般的にしていきたいと思います。

■この1年を振り返って

4期目の様々な出来事や変化を通して考えたことについてまとめます。

“自分たちが使いたいものを作る”

コールコネクトもそうですが、先月リリースした wellcast も、“自分たちが使いたい”という理由から始まったサービスです。遠いところにいる誰かの課題ではなく、自分たちの課題を解決するために作りました。

その中で感じたのは、「自分たちが普段使う製品だからこそ、情熱を失わず、製品を継続的に改善していくことができる」ということです。

サービスをより良いものにしていく上で、“飽き”や“諦め”は非常に大きな障害となります。自分たちの中に強い課題意識がなければ、改善する意欲が湧かないとか、なかなか収益化できないとか、そういった理由でサービスへの情熱は失われていきます。いつまで経ってもサービス品質が向上しないことだってあるでしょう。

しかし、普段から自分たちが利用すれば、自然と“もっと便利にしたい”と思えるはずです。製品の課題やトラブルにもいち早く気がつけるでしょう。結果、それはより良いサービスを提供することにも繋がっていきます。 あのUberも、元々は創業者の2人が「なかなかタクシーがつかまらないこと」にストレスを感じたのがきっかけで始まったサービスです。

マーケットがどうだとか、競合がどうだとか、そういったことを考える前に、まずは自分の中にある強い課題意識と向き合うことを大切にしていきたいと思います。

“サービスの核を見失わない”

サービスを作り始めると、あれもこれもと色々な機能が必要だと考えがちです。私たちも wellcast を作る際にそのような考えに邪魔され、話し合いや開発に時間がかかることがありました。

そんな時に重要になるのが、「サービスの核は何か?と自分に問いかけること」だと思います。

リリース当初から様々なニーズに対応しようとすると、誰が使うかわからない機能が満載の、複雑なサービスになってしまいます。あれもこれも解決できるというと聞こえはいいですが、結局「どんな課題を簡単に解決できるサービスなのか」が曖昧になるだけです。余計な機能開発のためにリリースがどんどん遅くなることもあるでしょう。

サービスの核となる機能以外は、リリース後にユーザーの反応を見ながら、本当に必要かどうかを検討していけば済む話です。

あれもこれもという考えは自分たちの首を絞めることになると知り、今後もサービスの核を見失わないように製品を洗練させていきます。

“働く場所を自由に選ぶ”

私たちは、普段から都内と熱海の拠点、自宅などでリモートワークを実践しています。メンバーそれぞれがその時の気分や家庭の事情によって、働く場所を自由に選ぶことができます。

その中で感じたのは、「社員の生産性や幸福度が上がるのであれば、一つのオフィスで働くことにこだわる必要はない」ということです。

一つのオフィスで働くことにこだわる理由は何でしょうか?もちろん、直接会ったり、集まることのメリットはあります。しかし、毎日一つのオフィスに集まる必要性は本当にあるのでしょうか?
会社として大事にしたいのは、成果や一緒に働くメンバーの幸せのはずです。通勤時間がなくなれば、その分自由に使える時間が増えますし、余計なストレスも減るでしょう。病気の家族がいれば、家で面倒を見ながら仕事をすることだってできます。災害や天候不良によって出社が困難な場合でも、自宅でいつも通りの仕事が可能です。

働き方に限ったことではありませんが、自分たちが非効率だと感じる部分は徹底的に取り払い、より高い成果を出せるように工夫していきたいと思います。

■おわりに

梅雨も明け、いよいよ夏本番。5期目を迎えるにあたって、メンバーで記念写真を撮りました。日々がむしゃらに働くのもいいですが、たまにはこうやって立ち止まって、今を噛みしめる時間を作るのもいいですね。

ちなみに、先月リリースした wellcast は、昨年10月に取り入れた20%ルール (自分の業務時間の20%までは、通常業務ではない仕事に使うことができる制度)から生まれたサービスです。5期目もゆとりを持つことを大切に、柔軟に変化していきたいと思います。

私たちは今後も自己資金で、自分たちのペースで経営を続けますが、現状に甘えることなく、サービスを成長させていきます。
私たちが、CallConnect が、wellcast が、今後どんな成長を遂げるかをぜひ楽しみにしていてください。

引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

2018年7月2日
selfree LLC 代表 小俣隼人