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2023/03/06

私たちが「ベストオブブリード」を志向する理由

こんにちは、小俣です。
私たちの会社では、日ごろから多くのSaaSを利用しています。また、私たち自身が「CallConnect(コールコネクト)」というコールセンターSaaSを提供する事業者でもあります。

SaaSの利用者側/提供者側の両方の立場がありますが、共通して大切にしている考え方があります。
それは「Best of Breed (ベストオブブリード)」です。

Best of Breed と Suites(All-in-One)

システムを構築・運用する際、複数ベンダーの製品を組み合わせて利用するアプローチを「Best of Breed (ベストオブブリード)」といいます。
一方で、単一ベンダーの多機能な製品を利用するアプローチを「Suites (スイート)」といいます。

それぞれにメリット・デメリットが存在し、どういう志向性を持つかによって製品の開発戦略なども変わります。
そのため、SaaSを利用する側としても、提供する側としても、どういう志向性を持つかには自覚的である必要があります。

CallConnect = ベストオブブリード型のソリューション

2015年にリリースしたCallConnectは、電話領域に特化したソリューションです。
“あれもこれも”とあらゆる課題を解決しようとはせず、特定のニーズに絞って、とがらせる意識で改善、提供してきました。

お金や時間は有限で、いくら量でカバーしようとしても優先順位が生まれ、どうしても後回しになる機能・領域が出てきます。
多機能だけど中途半端な製品になるくらいであれば、機能は少なくても特定の課題をどこよりも早く簡単に解決できる製品を作りたいと考えました。

私たちはどんどんと人員を増やす方針でもないため、量でなんとかしようという考え方自体がマッチしないという背景もあります。

また、CallConnectは、カスタマーサポートやインサイドセールスにおける電話対応でよく使われます。
それらの業務においては、通話履歴をCRMに集約したり、チャットツールで共有したりと、データ連携・統合の重要性が非常に高いです。

そのため、リリースしてから半年後には、APIやWebhookの提供を開始し、さまざまな外部ツールと組み合わせて利用できるようにしました。
その後も、HubSpotやSalesforce、Slackなどさまざまな他社サービスとの連携機能を提供し、連携性を高めていきました。

リリース初期からベストオブブリードの考え方を持ち、他社サービスとの連携性を重視したこともあってか、他社サービスと一緒に検討していただく機会が増え、結果的にCallConnectの認知拡大につながりました。

利用者の立場でも「ベストオブブリード」

SaaSを利用する側としても「ベストオブブリード」の考え方で、さまざまなツールを組み合わせて利用しています。
CRMはHubSpot CRMを使い、メールサポートにはZendesk Support、電話サポートにはCallConnectといったように、それぞれの分野で自社のニーズにマッチした最適なツールを使っています。
一般的にこのような運用では「データのサイロ化」が問題になりがちですが、これまで連携性を重視してCallConnectを提供してきた経験もあり、こうした問題を抱えずに運用できています。

餅は餅屋

私たちがベストオブブリードを志向する背景には、“顧客の課題をどのように解決したいか”という私たちなりの理想像がありますが、“餅は餅屋”というように、業務課題の解決はその道の専門家に任せるのが一番だという考えがあります。

電話のことなら電話に知見の深い企業に、メールのことならメールに知見の深い企業に。
Suitesの志向で作られた製品を使って、なかなかアップデートされない機能に不満を抱くというのはよく聞く話です。
SaaSを提供する側としても、自社のコア領域が何かを自覚して、その強みにフォーカスすることで他社にはない強みを築いていきたいと考えています。

おわりに

「ベストオブブリード」と「スイート」それぞれに、メリット・デメリットがあります。
私たちには「ベストオブブリード」が合っているというだけなので、企業ごとにどういう志向性を持って、製品を開発するか、他社のサービスを使うかは当然異なります。

ただ、製品を買ったところから関係性が始まるサブスクリプションの時代において、相手の志向性を知ることは、長期的かつ良好な関係を築く上ではとても重要です。
志向性が似ていれば、きっと自分たちの声も届きやすいでしょうし、相手の意図も理解しやすく、長い期間やり取りしていく中で、ストレスや不満も少なくなるのではないでしょうか。

自分たちがどういう志向性を持っているかを明確にし、発信すること。
そして、相手がどういう志向性を持っているかを知ろうとすることは、これまで以上に大切になってきています。

私たちは、ベストオブブリードのアプローチの仕方が気に入っています。
これからも餅は餅屋として、コールコネクトは電話領域に特化したツールとしてユーザーさんの課題をどこよりも早く簡単に解決できるよう、サービス改善を続けます。