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リモートワークでSaaS運営がうまくいく理由

こんにちは、畠です。
合同会社selfreeは、コールコネクトという電話のSaaSを運営しながら、コロナ以前からフルリモートで働いている会社です。私もかれこれ6年ほど、リモートワークを実践してきました。

コロナが落ち着き、オフィス回帰の流れもありますが、 私はリモートワークだからこそSaaS運営がうまくいくポイントがあると考えています。

まず、Saas運営においては、“プロダクトが優れていること”こそが最重要です。

プロダクトが優れていれば、下記の3つのメリットがあるからです。

1.顧客獲得のコストを下げられる

プロダクトが優れていれば、見込み顧客がプロダクトを試した際にすぐにその良さを実感してもらうことができ、契約率が高まります。
多くのセールス人員を抱えて、ガツガツとプロダクトを売り込まなくても一定の売上成長が見込めるため、人的コストを下げることができます。

2.お問い合わせなどの対応コストを下げられる

プロダクトが理解しやすいものであれば、一定のユーザーは自分で学び、自社に合った使い方をしてくれます。
しかし、プロダクトが複雑でわかりづらいものであれば、「これは何の機能ですか?」といった基本的な質問に毎回のように答える工数が発生したり(=お問い合わせのコスト増)、自分のやりたかったことが実現できないと思い込んだりするなど、解約のリスクも高まります。

3.運営メンバーの学習コストを下げられる

新しいサポート担当者が入社しても、すぐにプロダクトを理解でき、社内教育の工数を下げることができます。
また、サービスの仕様を網羅的に理解しやすくなれば、各ユーザーに最適な使い方などを提案しやすくなります。

プロダクトを優れたものにすることで、最低限のメンバーや工数でコンパクトにSaaSを運営できるのです。

そして、プロダクトをより優れたものにするためには、精度の高い意思決定を高速で行い、開発やデザインなどの業務に多くの時間を充てることが重要です。 そのための環境作りにはリモートワークが最適だと考えています。
なぜかというと、出社に比べてコミュニケーションのサンクコストが低い、非即レスによる開発効率アップ等が期待できるからです。

コミュニケーションのサンクコストが低い

例えば、基本的に出社前提の会社で会議をすることになった場合、まずは会議室が空いているかを確認する必要があります。
また、会議室で予定時間がきてしまえば、せっかく内容が詰まってきていたのにまた改めてといったように分割されてしまうこともあるでしょう。

しかし、リモートワークであれば会議室を押さえる必要はありません。急ぎであればメンションを飛ばして、反応があればその場で会議することも可能です。全員がオンライン前提なので、反応も早いことが多いです。
また、会議の時間も状況に応じて延ばすこともできます。

会議やコミュニケーションをするためのサンクコストが低いことは、大きなメリットです。リモートワークでは必要だと思ったら気軽にコミュニケーションをとることができます。
コミュニケーションのコストが下がることで、無駄なく意思決定がしやすくなるでしょう。

非即レスによる開発効率アップ

サービス開発においてまとまった時間を確保することは、開発効率をあげることにつながります。

例えば、エンジニアはしばらく集中してコードを書いていると フロー(集中している)状態になります。その状態で差し込みタスクが入れば、再度フロー状態に入るのに時間を要します。
しかしながら、オフィスで目の前に人がいれば、いつでも話しかけられる環境になります。話しかけられれば、内容の大小に関わらず強制的に作業を中断せざるをえなくなってしまいます。
リアルな場では、声かけを無視するわけにはいかないため、すべての会話で少なくとも最初の返事をすぐにしないといけません。

しかし、リモートワークであれば、他のメンバーから連絡がきた際に即レスしなかったとしても、問題にはなることは少ないでしょう。作業をしていて、自分の切りの良いところまでコードを書いてから返事をするくらいの猶予はあります。(もちろん緊急事態であればメンションを飛ばしたり、電話をかけて話したりという機会はあります。)
この猶予があるかないかは、開発や作業の効率に大きく影響するのです。そして、開発効率があがればプロダクトが改善されるスピードがあがり、優れたプロダクトにつながっていくのです。
参考:「マネージャーは1時間単位でタスクにあたるが、エンジニアはまとまった半日単位の時間がある方が良い」話について

落ち着いて議論できることが精度の高い意思決定につながる

対面とビデオでは、対面の方が緊張感が発生しやすいケースが多いように思います。 例えば、社長室に出向いて説明するのと、ビデオツールで役職に関係なく同じ大きさのビデオサイズで並んで話すのでは、 前者の方が緊張感が増すはずです。

たしかに実際に会った方が熱量が伝わりやすく、プレゼンがうまい人は身振り手振りを交え、意見が通りやすくなるかもしれません。しかし、実際に近い距離で議論することで、感情的になってしまうこともあるでしょう。
ただ、会社の意思決定としてはフラットに一番良い意見を判断して、実行していくことの方が重要です。
リモートワークは緊張や感情を抑え、落ち着いて議論しやすい環境だと思います。

リモートワークは従業員の人生を豊かにする

昨今リモートワークをしていたIT企業でオフィス回帰の流れが見られますが、少なくとも「有名企業がそうしているから」という理由だけで自社においても出社を求めるのは避けたいところです。
会社によってはリモートワークの方がフィットしている場合もあり、なんとなくで出社前提の働き方に戻してしまうと、従業員の不満を招き、生産性低下につながるリスクもあります。

何より出社を前提とすると、準備や通勤で往復2時間程度を毎日費やすことになります。
リモートワークであれば、その2時間を家族との時間や自己研鑽に充てられます。 それが毎日となると、年間で数百時間となり、人生に影響するほどのものになるでしょう。

企業としても従業員に自由な時間を多く与えることで、エンプロイーサクセスにつながり、離職率の低下などのメリットにもなります。何より、従業員の人生を豊かにしているということは素晴らしいと思います。

リモートワークを実践することで、より良いSaaS運営・ライフスタイルの実現を目指してみてはいかがでしょうか?