今日、起業してちょうど6年が経ちました。
セルフリーを立ち上げて、今日で6年が経ちました。
相変わらず外部からの資金提供は受けずに自分たちのペースでゆっくりと、でも着実に前進しています。
6期はコロナウイルスの感染拡大を受けて、コールセンターの在宅化を積極的に支援するなど、自分たちにできることを考え、粛々と実行してきました。
私たちの会社は元々リモートワークを実践していたので、特に体制変更などはなく、いつも通りに働いていました。
様々な社会変化があった6期ですが、メンバー全員が健康を損なうことなく、この6年の節目を迎えられたことをとても嬉しく思っています。そして、これまで私たちに関わってくださった皆様には感謝しかありません。いつも本当にありがとうございます。
今日は近況報告も兼ねて、この1年の取り組みや考えたことについてまとめます。
ブラウザ電話システム「CallConnect」について
CallConnect は、サポート業務やインサイドセールスに最適な電話システムで、PC とインターネットがあればどこからでも利用できます。 リリースして5年が経ちますが、順調に成長しています。有料導入企業は500社を超え、利用継続率も97%ほどを維持できています。ARR 1億円を達成したときの社員数は3名で、6月の売上は前年同月比207%となりました。 これまで私たちは「少人数で大きな成果を出す」ということを志向してきたのですが、徐々に体現できるようになってきたと思っています。
6期は18回のリリースを行い、「セルフサーブで製品の価値を体感してもらうこと」「問題を自己解決しやすくすること」を意識してきました。
・トライアル申込のハードルを下げる
CallConnect は、トライアル申込 → リード化 → 有料化という流れで契約が進みます。そのため、まずはトライアル申込を簡単にし、製品価値を体感してもらうまでのハードルを下げる必要がありました。 これまで LP TOP には [無料で試す] ボタンを設置していたものの、申込フォームは表示していませんでした。
そこで、より手軽に申し込んでもらえるように LP TOP に申込フォームを表示しました。結果として、トライアル申込率が約1.3倍になり、より多くの方に試してもらえるようになっています。 今後も地道ではありますが、CallConnect とユーザーさんとの摩擦を減らせるように改善を続けていきます。
・ヘルプセンターで答えを見つけやすく
私たちは電話やメールでカスタマーサポートを行っていますが、ヘルプセンターでの自己解決を好むユーザーさんもいます。そのため、ヘルプセンター自体の検索性や記事のわかりやすさを高めていく必要がありました。ヘルプセンターではすでに140記事ほどを公開していましたが、「より答えを見つけやすく」という視点では定期的にメンテナンスできていませんでした。
そこで、Zendesk Guide のレポート機能や Google Analytics を活用して、最低でも月1回は振り返るようにしました。チェックしているのは、以下のような項目です。
- ヘルプセンターへの訪問者数
- ヘルプセンターから送信されたチケット数
- ヘルプセンター内での検索ワード(再検索ワードも)
- 結果なしの検索数とそのワード
- 検索の開始ページ
これらの項目を振り返りながら改善を行うことで、“検索結果なしの割合”や“再検索数”を減らすことができています。 今後もユーザーさんが自己解決しやすいようにヘルプセンターを改善していきます。
・ユーザーミートアップを開催
「事例や活用ノウハウを共有できる場を作りたい」という想いから、2019年10月に4回目となるユーザーミートアップを開催しました。
当日は約20名のユーザーさんにご参加いただき、
株式会社ニューレボさんからインサイドセールスでの活用事例、株式会社キャスターさんからリモートワークでの活用事例について発表いただきました。
私たちからもサービスの思想や最新のリリース情報を直接伝えることができ、ユーザーさんとの関係性が深まったように思います。
7期目もミートアップを開催し、ユーザーさんと長期的で良好な関係を作っていきます。
Web ビデオシステム「wellcast」について
wellcast は、企業向けの Web ビデオシステムで、URL を作成して共有するだけで、オンライン商談・ウェビナーが実施できます。もちろん、参加する際のアプリインストールは不要です。最近になってウェビナーを実施する企業が増えてきているため、徐々に引き合いも増えています。
元々 wellcast はサイドプロジェクトとして始まったサービスで、CallConnect の副産物ともいえます。 CallConnect を開発する過程で学んだ技術や知見をベースに製品化し、ドッグフーディングしながら改善を続けています。 先月、大規模な機能リリースを行ったので、その一部を紹介します。
・ウェビナー機能の拡充(参加申込ページの作成、参加者管理)
先月のリリースで、参加申込ページの作成、参加者管理が行えるようになりました。参加者に対しては、開催日が近づくと自動でリマインドメールが送られます。 別サービスを使ってわざわざ申込ページを作ったり、リマインドメールを送信する手間がなくなります。
・ミーティング機能の実装
これまでは1対多のウェビナー配信機能のみを提供していましたが、先月のリリースで、最大12人が参加可能なミーティングを実施できるようになりました。 ウェビナー配信と違い、参加者全員の映像と音声が有効になるため、オンライン商談などのシーンで活用することができます。録画はもちろん、参加者情報を CRM に連携することもできるので、商談内容の振り返りに役立ちます。
今後は MA ツールや CRM と幅広く連携するとともに、映像・音声の品質を高めていきます。
6期を振り返って
・ミニマルな経営の実践
私たちは、「本当に大切なものだけに集中するために不必要なものは持たない」といったミニマリスト的な哲学で、会社を運営しています。 自社でわざわざ所有する必要のないものは外部サービスを利用することで代替し、身軽でいることを心がけています。 例えば、会社のビジョンを達成するために必要だと思っていたものがあったとして、改めて「それって本当に必要なの?」「必要だとしてもそんなにたくさん必要なの?」と自問してみると、“誰かが必要だと言っていた”くらいの理由しかなく、やはり不必要だったと気がつくことも多いのではないでしょうか。
成長への焦りや不安があると、つい「より多く、より大きく」と量や規模を求めてしまいます。 私たちは、いつでも素早く、柔軟に動けるように「より少なく、より小さく」を追求しています。 ふと立ち止まって自問してみると、思いのほか必要なものは多くないことに気がつきます。
少なくとも私たちにとっての大切なことは、「社員とその家族が幸せであること」「ユーザーさんが成功すること」です。これらに集中するための方法として、ミニマリズム的な哲学はとても役に立っています。
- 急成長よりも、堅実な成長を志向すること
- 会社のコントロール権を保持すること
- むやみに人を増やさないこと
- オフィスは持たず、それぞれが集中しやすい場所で働くこと
- 長時間労働はせず、週40時間だけ働くこと
- 機能の豊富さではなく、シンプルさを重視すること
- エフォートレスな顧客体験を提供すること
“足るを知ること”で、余計なプレッシャーを感じずに健全に働くことができます。そして、ユーザーを迷わせない、製品価値の届きやすいプロダクトを提供していくことができます。 今後も余計なものを削ぎ落とすことで、本当に大切なものだけに集中できる環境を作っていきます。
おわりに
起業してからあっという間に6年が経ちましたが、日々の出来事の記憶はひとつ一つが鮮明で、私たちの糧になっています。 これからもプロダクト改善/カスタマーサクセスに注力し、ユーザーさんへの提供価値を最大化していきます。また、週40時間勤務を継続するなど、健全な働き方を心がけ、長期的に走り続けられる体制を維持していきます。
私たちは自己資金で SaaS を提供していて、比較的マイペースな会社運営を続けているので、もしかしたら私たちと同じような会社運営の方法に興味を持っている人もいるかもしれません。今後は、そういう人たちにとって参考になる情報を積極的に発信していけたらと思います。
7期目も「愛される企業を増やす」を企業理念に、成長の過程を楽しむ余裕を持ちながら、ゆっくりと、でも着実に進んでいきます。 引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
2020年7月2日 selfree LLC 代表 小俣隼人